紙の目について

紙には縦や横といった向き(方向性)があります。

紙目とは繊維の流れ目のこと

普段あまり意識する事は無いかも知れませんが、製本する際にはとても基本的で大事な要素です。縦目(T目)か横目(Y目)かによって仕上がりは全然違ったものになり、逆の目では使いにくく、壊れやすい本になってしまいます。

紙の目

短辺に対し、繊維が垂直に並んでいるものを短手に対して縦目(T目)、水平になっているものを横目(Y目)と言います。軽く折り曲げてみると、繊維の筋に平行な方が曲がりやすく、逆らうように曲げると曲がりにくいのがわかると思います。試しに破ってみるとまっすぐに破れません。

また水に濡らすと紙は伸びますが、紙の目に対し垂直方向へ伸びようとするので、逆目で構成した場合はでこぼこと波うち、開きにくくなる事があります。

紙の目ができる理由

現在私たちが手にする紙の多くは工場で機械を使って製造されます。
その行程において自然と繊維の流れ目が出来上がっていき、これが”紙の目”になります。

その後一定の大きさに断裁していきます。
この時点では縦目や横目の紙が混在するのですが、最終的に目的のサイズまで切り分けた時、その繊維の方向でもって紙目が決まります。

紙目の様子

紙の上に水で十字を書いてみるとよくわかります。

繊維の方向

水分を含んだ時、繊維は流れに沿った縦方向には伸びにくく、横方向へより大きく膨らむという特徴があります。
上の画像でも繊維に対して横方向、つまり流れ目とは逆の方向に大きく伸びようとする為、しわが多く現れ波打っているのがよくわかります。

紙目を逆にして綴じたサンプル

紙伸びのシワ1 紙伸びのシワ2

製本に適した紙目について

作りたい本の形状などによって若干変わる事もありますが、基本的には本の背に対して平行に揃えます。
特に本文紙は紙の目を揃える事が重要です。サイズさえ合えばどんな紙でも良いと言う訳では実はないのです。

もちろん当店の製本キットに入っている部材は、製本したとき適切な形になるようカットしてありますのでご安心ください。